TC 125

01. より速く、よりスマートに

エンジン

TC 125のエンジンは競争の激しい125 ccクラスで性能の基準を打ち立てる一方、その重量はわずか17.9kgです。この軽量エンジンは2ストロークの高回転を維持しつつも、よりパワフルなトルクを生み出すために、最新のイノベーション技術を使用して製造されています。TC 125ではエンジン内の回転質量が中央に集中しており、軽く機敏なハンドリングを提供し、初心者とプロレーサーの両方にとって有利です。

シリンダー

シリンダーは口径54 mmとなっており、TC 125ではフューエルインジェクション(EFI)によって燃料が供給されるため、パワーバルブは革新的な電子エキゾースト制御システムに置き換わっています。アクチュエーターを使用することで、側面のエキゾーストポートとメインのエキゾーストポートが同時に開き、最大のパワーを提供します。

クランクシャフト

軽量クランクシャフトにより、スロットルレスポンスが向上し、振動が最小限に抑えられます。コンポーネントは、回転質量がバイクの全体的な性能にできるだけ影響しないように精密に配置されています。

クランクケース

高圧鋳造生産プロセスにより、クランクケースを薄壁で製造できるため、総重量が最小限に抑えられ、最適な質量集中化が実現されました。対称的なエンジンマウントは、シャシーの屈曲特性に貢献し、ハンドリングを向上させます。エンジン内部は、すべてのエンジンコンポーネントが理想的な重心位置となるように配置されています。

トランスミッション

6速トランスミッションはPankl Racing Systemsによる特製品で、最高レベルの耐久性と信頼性を保証します。シフトドラムとシフトフォークは全体的なレバー動作が改善され、より滑らかで正確なシフト操作が行なえます。特別なギアレバー先端デザインが汚れの蓄積を防ぎ、あらゆる状況での確実なギアチェンジを実現しています。

DSクラッチ

TC 125には従来のコイルスプリングに代わって1枚のスチール製ダイヤフラムプレッシャープレートが採用されたユニークな設計が特長のダイヤフラムスチール(DS)クラッチが装着されています。CNC機械加工スチール製ドラムの中に格納されたクラッチは全体的に耐久性に優れ、エンジンのコンパクトなデザインに貢献しています。

エンジン

シリンダー

クランクシャフト

クランクケース

トランスミッション

DSクラッチ

02. 快適な乗車

クロームモリブデンフレーム

実績のあるクロモリ鋼フレームは他の追随を許しません。ショックマウントは、メインチューブに接続されていないため、シャシーのアンチスクワット挙動が大幅に改善されています。フレームは、壁厚が最適化されたことで高負荷がかかるエリアでの信頼性が向上し、高度な形状と屈曲特性により、ライダーへの比類ないフィードバック、エネルギー吸収能および直線での安定性が向上しています。フレームは、上質なメタリックブルーの粉体塗装で仕上げられ、標準装備のフレームプロテクターが装着されていることで、優れた保護、耐久性、あらゆる状況下でのグリップを提供しています。さらに、下部のフレームレールに鋳造ブラケットを含めたことで、スキッドプレート（テクニカルアクセサリとして提供）の取り付けが容易になりました。

ポリアミド補強アルミニウム製サブフレーム

ポリアミド60%、アルミニウム40%で作られた2ピースサブフレームは、総重量はわずか1.8 kgあまりで優れた強度と耐久性を実現しています。下部サブフレームのスパーとフレームマウントは鋳造アルミニウム製のため、信頼性が著しく向上しました。サブフレームの上部は射出成形ポリアミド製のため、特定の屈曲特性に対応でき、軽量構造となっています。

トリプルクランプ

フレーム設計やサスペンションセットアップと連携したCNC加工トリプルクランプは、精密に計算されたジオメトリが安定性を向上しています。ハンドルバークランプによりハンドルバーの屈曲特性がカスタム化されています。ハンドルバークランプの取り付けには、振動の少ないゴム減衰型とフロントエンドのフィードバックを強化した固定型の2種類があります。上部トリプルクランプはより硬くなったため、滑らかなフォーク動作を確実にし、フロントホイールの完璧な位置合わせにおいて重要な役割を担っており、優れたハンドル操作を提供します。

WP製XACTフロントサスペンション

新しいシムスタック設計により、2024年モデルのTC 125は総合的なバランス、コーナリングの機敏性、乗り心地が向上しました。48 mmのWP XACTフォークはカプセル化された調整が可能なエアスプリングと加圧オイル室のクローズドカートリッジ設計となっており、滑らかな動作と一貫したダンピングを提供します。オイルとエアのバイパスが圧力ピークを軽減し、ミッドバルブダンピングシステムと、トラベルの最後の40 mmで漸進的なダンピングを加えるハイドロストップとの組み合わせにより、フォークはライダーに正確なフィードバックを提供します。セッティングは、シングルエアプレッシャープリロードバルブとコンプレッションおよびリバウンド用の簡易アクセスクリッカーを使って簡単に調整できます。その他にも、フォークの空気ばね圧を調整するために必要なエアポンプが標準装備されています。

WP製XACTショックアブソーバー

WP XACTリアショックは293 mmのトラベル量を実現します。ショックの内部には、数値流体力学(CFD)を使用して最適化されたメインピストンがあり、初期の快適性が向上し、あらゆる条件で強力な支持を提供します。2024年モデルではバランスとハンドリングを向上するためにさまざまな穴の大きさを持つシムスタック設定を変更しました。これによって開口部はより簡単に開き、オイルフローの全体的なストレスを軽減します。低摩擦SKFシールとリンケージシステムにより、リバウンドでは一定したダンピング、快適さ、トラクションが確実となり、高速および低速のコンプレッションは手動で調整できるようになりました。

スイングアーム

中空鋳造アルミニウムスイングアームは、改良された鋳造生産プロセスにより1枚のアルミニウムから製造されているため、最適な剛性となり、重量が前のバージョンに比べて190 g軽量化されています。フレームの屈曲特性に最適化して合わせるため、新たに22 mmの後軸が装着されました。さらに、チェーンガードとチェーンスライダーは、耐久性が向上し、外部の物体を引っ掛けにくいように設計されています。

クロームモリブデンフレーム

ポリアミド補強アルミニウム製サブフレーム

トリプルクランプ

WP製XACTフロントサスペンション

WP製XACTショックアブソーバー

スイングアーム

03. 優れた人間工学に基づく形状

機能的なボディワーク

すっきりとしたスウェーデン風のスタイルと人間工学により、ライダーが長時間、最高のパフォーマンスを発揮できるように設計されています。長時間のテストと改良を経て、ライダートライアングルの接触点と表面の快適性が向上し、疲労の軽減に貢献しています。フラットシートにはグリップ力の高いカバーが装着され、制限のない動作を実現し、ライダーは強く加速するときもしっかりと体勢を維持できます。

エアボックス

考え抜かれたインレットダクトの配置によって抗力と空気流れの変形が減ったエアボックスは、フィルターを最大限に保護しつつ、空気の流れも妨げません。TWIN AIRフィルターは、左サイドパネルを外すだけで、工具なしで容易にアクセスできるため、メンテナンスが容易です。

油圧式クラッチ

高品質のBrembo油圧式クラッチシステムは、均一な摩耗、ほぼメンテナンスフリーな動作、あらゆる状況下での完璧な動作を保証します。この油圧システムによって、遊びが一定に補正され、温度の高い/低い、および長時間の使用に関わらず、クラッチの圧力点と機能が同じに保たれます。レースを中心とした長時間のテストにより、高品質なイタリア製Brembo製油圧システムの卓越した信頼性が証明されました。

油圧式ブレーキ

クラス最高レベルのBrembo製ブレーキキャリパーは、1枚のアルミニウムから製造されており、最低限の重量で優れた強度を実現し、最高水準の品質を保証します。泥の蓄積を防ぐように設計された260 mmのフロントディスクと220 mmのリアディスクの組み合わせによって、あらゆる状況でも優れた制動力とブレーキの信頼性が得られます。

ProTaperハンドルバー

Husqvarna Motorcyclesと大手ハンドルバーメーカーにより開発されたProTaperは、独自の屈曲率により優れた快適さ、トップクラスの強度、耐疲労性を最小限の重量で提供します。

ODI製グリップ

ODI製のロックオングリップには、革新的な統合スロットルメカニズムが採用され、接着剤なしで取り付けされています。スロットルアセンブリは、簡単なフリープレイ調整となっており、代替のカムを装着し、スロットル動作をカスタマイズするオプションもあります。

フットレスト

CFDデザインのフットレストが幅広になったことで、マシンのコントロール性能が高まると同時に、深い轍やスクラブ時のジャンプ、コースサイドの障壁などに引っかかりにくくなっています。これは、フレームレイアウトの細型になった取り付け設計によって実現しており、全体的な重量の軽減にも貢献しています。

機能的なボディワーク

エアボックス

油圧式クラッチ

油圧式ブレーキ

ProTaperハンドルバー

ODI製グリップ

フットレスト

04. テクノロジー

ホイールとタイヤ

CNC加工のハブ、軽量スポーク、ブラックアルマイト仕上げのD.I.D製高強度合金リムを備えたTC 125のホイールにはDunlop Geomax MX33モトクロスタイヤが装着されており、その実績のある「2段ステップブロック形状」デザインが攻めのコーナリングと優れたグリップを可能にします。トラックでの俊敏性を向上するため、リアに100/90-19タイヤ、フロントに80/100-21タイヤを装着し、あらゆる路面で最適なハンドリングを確保にします。

エグゾーストシステム

革新的な3D設計プロセスにより、TC 125エンジン向けに特別にカスタマイズされたエキゾーストパイプは、全回転域で最大のパワーを提供します。マフラーはアルミニウム製ブラケットを使用して簡単に取り付けられ、最小限の重量で高い強度を実現しています。また、その高度な内部構造は、性能を犠牲にすることなく優れた消音性能を実現しています。

冷却システム

高強度アルミニウム製のラジエターは、数値流体力学(CFD)を使用して設計されており、効率的に空気が流れるようになっています。フレームを貫通する大型のセンターチューブがこの部分の圧力を下げ、より一定した冷却液の流れを作り、内蔵サーモスタットがさらに信頼性を高めています。

燃料タンク

7.2 Lの燃料タンクが人間工学に基づいたボディワークとぴったり統合されています。燃料ポンプの設計と位置により、タンクを完全に空にできるため、長時間のレースでは特に有利です。耐久性を向上するため、外部の燃料パイプは特別に配管され、露出を減らし、損傷を受けにくくしています。

ホイールとタイヤ

エグゾーストシステム

冷却システム

燃料タンク

05. 高度なテクノロジー

電子燃料噴射

TC 125にはフューエルインジェクションシステムが導入され、多くの利点が提供されます。ECUはエンジンの動作条件を一定して分析し、最先端の39 mm Keihin製スロットルボディを通して、完璧な空気/燃料比を常に提供します。また、EFIは2つの異なるエンジンマップを導入しており、ハンドルバーに取り付けられたスイッチで簡単に起動して、走行をカスタマイズできます。マップ1（白）はハードパック向け、マップ2（緑）はよりアグレッシブで、砂地や深いダート向けです。さらに、設計が新しくなったリードバルブシステムは、吸気管の密封性を改善し、過度な燃料の蓄積を防止し、過酷なアップまたはダウンヒルでエンジンを滑らかな動作を可能にします。

セルスターター

あらゆる条件下でスピーディなスタートを切れるように、TC 125には信頼性の高いE-Startが搭載されています。このシステムにより、キックスターターは完全に不要となったため、新たに生まれたエンジン上部のスペースには、フューエルインジェクションと電子エキゾースト制御装置が収容されています。12.8V 2 Ahリチウムイオン電池はシートの下の重心近くに格納されており、TC 125の操作性は損なわれません。エンジンはハンドルバーに搭載された同じスイッチで簡単に始動と停止を行うため、利便性が向上しています。

マップ・セレクト・スイッチ

TC 125のフューエルインジェクション(EFI)は、さまざまな路面状況に合わせて2種類のエンジンマップを提供します。マップ1（白）はハードパックや滑りやすい路面向けに直線的で予測可能なパワーを提供します。マップ2（緑）は砂地や深いダート向けのリッチな設計で、最大の性能と信頼性を提供します。ライダーはハンドルバーに搭載されたマップセレクトスイッチのボタンを押すことで、どちらのマップにも簡単に切り替えできます。